山岳ガイド小口研治 田村まゆみ山岳ガイド小口研治山岳ガイドの山日記山日記山日記2  2015年7月8〜10日 蝶ヶ岳〜燕岳

 山岳ガイドの山日記 上高地BT    ガイドシーズンを前にプライベートで

  山歩きをしました。テント泊3日の予定で

  上高地〜横尾〜蝶ヶ岳〜常念岳〜大天井岳

  〜燕岳〜中房温泉コースです。天気予報は

  3日間とも雨マークでテンションは上がりません

  が、6月に参加した北アルプス表銀座コース

  ライチョウ調査後の孵った雛を見るのも楽しみの

  一つです。

  悪天予報に人影のない上高地。
 蝶が岳稜線へ     横尾辺りから予報通りに雨、高度を上げるに

  つれ雨脚も強くなり風も出て来ました。稜線に

  出ると強烈な風と雨で飛ばされそうになるくらい

  です。余りの強風にテント泊はあきらめ小屋に

  逃げ込み快適な一夜を過ごしました。翌朝も

  状況が変わらなければ躊躇なく中止して下山です。
 ウラジロヨウラク    9日朝、相変わらずの雨。

  稜線の横尾分岐まで歩き先の判断する

  ことにして蝶ヶ岳の小屋を出発、幸い風も

  無く続行に決定。

  雨に濡れたウラジロヨウラク
 コメツツジ   蝶槍から急斜面を降りマイナーピークを2つ

  越えるといよいよ常念岳への登りです。

  この付近で多く見かけるコメツツジ、 名前の

  由来の「コメ」は、ちょうどこの時期まだ花びらが

  開かない頃をさすようです。
 雛を温める雷鳥の親   変わらぬ雨の中常念岳を越えて横通岳から

  東大天井岳に登る登山道に雷鳥が雛を温めて

  いました。孵ったばかりの雛はまだ体温調節が

  できず親の羽根の中で温めてもらいます。
 5羽の雷鳥の雛   親の羽根の中から5羽の雛が出て来ました。
大天荘テント場   一日雨、雨で本日の泊地、

  大天井荘テン場着。トイレも

  新しくなり快適でした。
テント補強    強い雨だとテント内に霧雨が降る頼りない

  シングルウォールテント、雨対策としてツェルト

  を被せてカンペキでしたが、雨の多い日本の山は

  国産ダブルウォールがお勧めです。
切通しへ降り   7月10日まさかのドピーカン!

 
 お天気の回復1日が早くなったようで

  足取り軽く切通しへの大下りへ。

  遠く見える立山、剱岳にはまだ残雪が

  多く残っています。
 シコタンソウ    燕岳から槍ヶ岳への登山 道「喜作新道」を

  開削した小林喜作のレリーフのある切通し

  の岩にシコタンソウが満開でした。
   高山植物で好きな花は?と問われればまずシコタンソウ…、花びらのドット文様が赤から黄色の

グラデイションに変化してつい近くによって見入ってしまいます。葉は肉厚でマット状に広がります。
 シコタンソウの花びら
 岩に咲くシコタンソウ    シコタンソウは岩場に張り付くように咲いて

  います。槍ヶ岳の穂先にはあちこちに見ることが

  出来ますが登り降りに必死は方にはそれどころ

  ではないようです。
   大天井岳から切通しに降り燕岳に至る稜線歩きはお天気が良ければ最高の景色を堪能できます。またこの時期は

コマクサの花も開き始め群生するピンク色が砂地に点在して絨毯を広げたかのようです。砂地を好むコマクサは細く

密生した葉に露や雨の水分を貯め根に集めるように工夫しています。高山帯で成長は遅く、発芽しても1年で1葉、

2年で2葉、手の平サイズになるには3〜40年、大きな株に なるとなんと100年近いと言われています。

 コマクサ1葉                コマクサ2葉
   稜線上もっとも大きなアップダウンの大下りを登り切りました、槍ヶ岳を中心に北アルプスのビューポイントです。
 大下り
   この稜線を歩く時に出会うカラマツ。いつも見るのが楽しみなのですがガイド中はまともな写真撮影はできません、

今日こそはとの思いでようやくその姿を写すことが出来ました。斜面を猛烈な勢いで吹きあがる風と岩の影に発芽した

幸運、風の流れがそのまま樹形になってまさに盆栽のお手本のようです。
 岩とカラマツ
 中房登山口   2日前の飛ばされそうな風と雨の蝶が岳稜線からは

  想像できないくらいの幸運な天気の回復で快適な

  稜線歩きができました。

  順調な下山で中房登山口着、お疲れ様でした。

                        山岳ガイド小口研治 田村まゆみ山岳ガイド小口研治山岳ガイドの山日記山日記山日記2  2015年6月29〜30日  鳳凰三山

 鳳凰三山中道ルート    昨年10月に登った鳳凰三山に中道ルートから

  再び訪れました、下山口の青木鉱泉駐車場に

  車を置き、中道取り付きへ林道を辿ります。
 クモマナズナ    林道から壊れた小屋がある登り口へ。

  ほぼ景観の望めない長〜い樹林帯を

  スローペースで5時間余り、薬師岳山頂

  に着きました。稜線で迎えてくれた花は

  4枚の花びらが特徴的なのクモマナズナ

  です。
カラマツの盆栽    観音岳を過ぎ地蔵岳に向かう途中の稜線に

  凄い造形のカラマツがありました、まさに盆栽の

  お手本です。
カラマツの巨樹    これもカラマツの巨木です、絶えず強風に

  晒される稜線では上に伸びることはできません。

   高山帯での樹木の年齢は高さ、大きさでは

  測れませんが数百年の樹齢はあると思います。
タイツリオオギ    鳳凰三山を中心に咲くタカネビランジや

  タカネヒゴダイはまだ蕾でしたが、日当たり

  の良い斜面にはマメ科のタイツリオオギの

  花が咲いていました。タイツリの名は豆の

  入った鞘が鯛に似ています。
ミヤマハンショウズル    名の通り半鐘に似たミヤマハンショウズル。
   時折見える青空も一瞬で、昨年登った地蔵岳のオリベスクもなかなか顔を出してくれません。
           地蔵岳オリベスク
   白砂の斜面のにはタカネグンナイフウロの青紫色が目を引きます、風衝地で茎の高さは12cm位です。
                                  タカネグンナイフウロ
 白砂の降り    地蔵岳から鳳凰小屋への降りです。

  細かい砂地の急斜面をジグザグに

  降ります。
   怪しい雲行きも雨にはならず快適な鳳凰小屋のテント場でした。ドンドコ沢の途中で見た富士山です、どこから見ても日本一!
 富士山遠望
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