気まぐれガラス日記気まぐれガラス日記20  2019年6月19日  ランプシェードを作る

 ガラス紙型    久しぶりにランプシェードを作りました。

  複雑な工程なので余り期間をおくと感覚が

  鈍ってしまいます。まず、型紙を作り、今回は

  薄いプラシートで定規を作りました。

  ビべリングでガラスが濡れていてもOKです。
 ガラスの厚み    ガラスはココモ社の定番、淡いアクアブルーと

  アンバー色の流れる人気のガラスを使用します、

  同じ品番でもこれだけ厚みが違います。

  ビべリングで角を調整しておかないと後々

  苦労します。
ガラスカット    36角×7段+1段で288枚

  ガラスカット終了。
 鉛インゴット    次はケイム(鉛桟)を作ります。

  あらかじめ、指定した硬さに鋳込んだ

  インゴットを用意、多少の調整が必要

  です。
   400年の歴史があると言われているJosef Haasのドイツ式鉛圧廷機です。「小口研治のステンドグラススタイル」には欠かせない

マシンで、これで作ったケイムの形状でないと私の作品は組めません。1985年製造、発注した当時はまだ西ドイツでした、ベルリンの

壁崩壊が1989年です。良くできた機械でシリアルナンバーを伝えると、このマシンの癖に合った部品が送られてきます。


金の無かった当時、たぶん乗用車一台分くらいの価格であったと思いますが、手に入れて良かったとつくづく思うのです。
 鉛圧廷機             ジョセフ ハス
 コマと歯型    ケイムの太さ、厚さによってコマと

  ジョウズ(歯型)を変えます。
コマと歯型の関係    鉛とコマ、歯型の関係
 ケイム制作    荒挽きと仕上げ挽き2回で挽きあがり。
まっすぐに    引っ張ってまっすぐに!
ガラスと鉛のパーツ    ガラス 288枚、鉛 324本

  ランプシェードのパーツ合わせて612点

  揃いました。
 ガラス色合わせ    ガラスの色合わせです、見る角度に

  よって色合いが変わるように調整

  します。これは好みの問題。
 一段目組み    下二段を平面で組み上げます。

  一番細いケイムを縦に割り捩って

  モールを作り、末端に嵌め込み

  ます。
 組み上がり    組み上がり
半田面    半田作業終了
平面組み    平面で組み上がりました。
平面曲げ    クルリと丸めて半田で接着
組み立て    上部の組み立てと半田の仮付け。
仮止め    6段目
角度の調整    どうしても外側に広がる傾向があり

  内側に押し込めて角度の調整をします。
半田流し    外側の全面に半田を流します、

  半田は液状に融けていますから

  流す面は水平に。
 キャップのタップ切り    頭の部分のキャップの加工、

  オリジナルデザインで鋳造した

  キャップに穴を開けタップを切る

  行程。
 
 キャップの溶着    キャップの溶着

  これだけ大型のランプシェードになると

  プレスの素材では強度が不足です。

  過去に真鍮のプレスキャップが劣化して

  割れかけたものを見てゾッとした経験が

  あります。この鋳造のキャップ厚は薄い

  ところで3mmこの位は必要です。
  
 内側半田流し    シェードの内側を全面半田を流して

  鉛全体の強度を上げていきます。


  半田ごては流す形状で選び、コテ先

  の角度は流す鉛に合わせてかたちを

  整えることです。
 鉛のガラス面密着    半田が終わったらケイムをガラスに

  密着させて、出た部分を叩きながら

  角度の最終チェックです。
   ランプシェードの組み上がりです。
 内側半田終了              半田終了
 メッキ着色    着色行程

  鉛に硫酸銅で着色、簡単なメッキで

  硫酸に溶けた銅の成分を半田面に

  付着させます、簡単に言えばですが。
 内側メッキ    内側のメッキ終了
メッキ終了    外側メッキ終了

  乾燥後天然のワックスで磨き完成!

 
  私は、自分が職人であると思ったことは

  この40年間一度もありませんが、この

  作業はどう見ても職人の仕事ですね。

  ただし、普通のステンドグラスの職人さん

  にはこのランプシェードは作れません。
  
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